製版
シルクスクリーンの製版工程
2.感光乳剤を塗布した版に裏面にポジフィルムを密着させケミカルランプやメタルハライドなどの光を当て
適度な時間露光します。
テトロン紗を張ったアルミ枠
向こう側が少し透けて見えます
感光乳剤を塗布した状態
ポフィルム
感光乳剤を塗布した版の裏面に
ポジフィルムを貼る
シルクスクリーン版の紗について
以前はシルク(絹)が使われていたことからシルクスクリーンと呼ばれるようになりました。
現在では主にテトロンやナイロンなど化学繊維が使われています。
版の紗の隅によく、右のような文字と数字が表示されています。
反転していますが、T-225TBと表示されています。
最初のTはテトロンを表しています。Nであればナイロンを意味します。
次の225はメッシュ、225メッシュを意味します。
1インチで225本の糸で織られていることになります。
300メッシュとか高メッシュになると細かい文字や細い線を表現するのに
適しています。
次の小さいTの文字は糸の太さを表しています。
細い順にSS、S、M、T、HDなどがあります。
ちなみに225メッシュのTと300メッシュのTとでは同じ太さの糸ではありません。
細い糸で高メッシュの版は細い線や細かい絵柄を表現するのに適しています。
次のBの文字はバイアスといって、枠に対して紗を斜めに張っています。
直線に対して斜めの紗はエッジがきれいに出やすくなります。
枠に対して平行に張られている紗はNの表示でノーマルと呼ばれています。
3.露光した後、水洗いをして版の完成です。
ポジフィルムの透明部分は光が当たり感光乳剤が光に反応し固まりますが、
ポジフィルムの黒い部分は光があたっていないので固まらず、水洗いにより流れ落ちてしまいます。
洗い流した後はテトロン紗の状態に戻りインクが通過する状態になり、感光乳剤が固まった部分は
インクを通さず目止めされた状態になります。
シルクスクリーン版
スキージ
一般的にシルクスクリーンを遡るとステンシルが元になっていると言われています。
ステンシルとは孔の開いた型紙の上から絵具、インク、染料などを塗り、孔の開いた部位の形
(紋様、文字など)の絵柄を写し取る技法です。
日本古来の捺染技術(ステンシル)は広く知られるところです。江戸小紋、伊勢型紙、紅型(びんがた)
など捺染型紙の繊細で緻密な世界は日本人の得意とするところではないでしょうか。
また二重丸◎のような図柄は、中の丸が落ちないように生糸を細かく張り、和紙ではさんで貼り付ける
<糸入れ>などの技術が生まれました。
その後明治末頃、絹の紗を張った捺染型紙が開発され、それにヒントを得た英国人サミュエル・シモンが
1907年に絹のスクリーン印刷法の特許を取ったとされています。
そして技術の進歩に伴い、商業、工業、アートにと幅広く使われることとなります。特に写真による製版が
可能になったことは、飛躍的な進歩につながり、シルクスクリーンの世界が一気に広がることになります。
美術では1960年代アメリカのポップアートに代表されるアンディウォーホールの一連の作品や日本でも
横尾忠則、靉嘔、草間弥生など作品にシルクスクリーンを取り入れている作家も多くみられます。
工業分野ではプリント回線など、シルクスクリーンのより高精度な技術の発展と共に多方面に応用される
ようになります。
印刷する材質、形態を選ばないという特性から、ポスター、Tシャツ、ステッカー、看板、サイン、
その他身近ないろいろな日用品などの印刷ばかりでなく、場合によってはビルのガラス面の衝突防止や
壁面に現場で直に絵柄を印刷することなども少なくありません。版やインクその他の道具を持ち運び、
出張して現場での印刷も可能です。
まだまだこれからもシルクスクリーンの特性を活かし、秘めたる多大な可能性を引き出し、工夫、応用す
ることにより、更なる発展に期待がもたれます。
シルクスクリーン印刷は、紙、ステッカー、アクリル、木、布、塗装面、金属、ガラスなど
あらゆる材質に印刷が可能ですが、それに伴い材質に適したインクの選定が、大変重要になります。
密着性や発色はもちろんのこと、屋外に設置されるサインや看板などは、特に耐候性など考慮に入れて
選定しなければなりません。
色々な種類のインクがあり、特に塗装面、金属、ガラスなどは密着性や硬度を促進させるため、
インクに硬化剤を適量混合させて使用します。このようなインクは二液反応型と呼ばれています。
(フッ素樹脂、シリコンなど一部材質によっては、インクの接着しないものもあります。)
調色
シルクスクリーン印刷
株式会社 クリエイト
印刷物を表現するのに色はとても大切です。
シルクスクリーン印刷においては、デジタルプリンターのようにパソコン画面上で色を調整するのではなく、
実際のインクを混ぜ合せて色を作ります。DICやPANTONE、日塗工などの色見本の色はもちろんのこと
製作者のイメージの中にある色までも、あらゆる色を作り出すことが可能です。
自画自賛になってしまい恐縮ですが、当社の調色技術は、長年の経験に裏打ちされ、
非常に高いものと自負しております。
また、印刷する素材、材質、形態を選ばず、あらゆる物に直に印刷が可能です。
(一部材質によっては、インクの接着しないものもあります。)
特徴としては、他の印刷方法に比べ、刷り上ったインクの層が厚く、隠ぺい力があり、発色にも優れ、
インパクトの強い印刷物に仕上がります。
基本的に一色ごとの特色による印刷を得意としますが、ハーフトーンインクなどを使用して
CMYKのカラー分解の印刷方法も可能です。
次に版上にインクをのせ、スキージと呼ばれるゴムベラを移動させ、のせたインクをこすり落とし、
インクを通す部分のみ、版の下にある素材に直にインクが刷り込まれます。
仕組みとしては、四角い木枠やアルミ枠に、紗(絹及びテトロンなど)を貼り、紗の面にインクを通す
部分と通さない部分(紗に目止め加工をする)とを作ります。これがシルクスクリーンの版となります。
シルクスクリーンの歴史
インクについて
シルクスクリーンはセリグラフとも呼ばれ、版画や印刷技法の一種で版に絹が使われたことから
この名があります。現在では絹の代わりにテトロンやナイロンなどが一般的に使われています。
1テトロンやナイロンの紗を張った木枠やアルミ枠に全面に感光乳剤を塗布します。
シルクスクリーン印刷
株式会社 クリエイト
完成した版
完成した版を使用した印刷物